パワースポットと神社

パワースポットと神社

パワースポットと神社

 2010年あたりから「パワースポット」という言葉が有名になって、またそれを巡るのがブームとなっています。いわゆるパワースポットの多くは神社であるため、神社に参拝される人も増えたようで、それは神主としては喜ばしい話もあるのですが、ブームが加熱するにつれ、問題もちらほらと聞き始めました。

 まずはパワースポットとはなんだろう、ということで、私も調べてみましたが、だいたい二つにわかれるようです。一つは熊野三山や出雲大社のような、聖地あるいは霊場といった所や宗教施設が建っている場所です。もう一つは○○神社に立っているこの木とか、○○神社の裏にある大石とか、もう少し狭いものを指しているようです。
 前者は非常にわかりやすいというか、神社なり寺院なりの施設があったり、もともと有名だったりするところで、パワーを得られるのかはともかく、ある種の特別な場所であることは間違いありません。問題は後者です。というのも具体的にここがパワースポットだと「霊能者」と言われる人たちが言いだしてから有名になるためです。

 伊勢神宮のパワースポット

 神社にあるパワースポットの一例として伊勢神宮を見てみます。どうやら話によると、外宮は三つ石、内宮は四至神がパワースポットと言われているようです。この二ヶ所には当然いわれがあります。

「川原祓所(かわらのはらいしょ)」
 多賀宮遙拝所の近く西南方に、丸石三個を並べた石積があるこれを俗に三つ石といっている。
 遷宮諸祭のうち、鎮地祭また遷御前日の御装束神宝並びに奉仕員のお祓い、後鎮祭のお祓いがここで行われる。

「四至神(みやのめぐりのかみ)」
 五丈殿のすぐ東に石畳があり、石神をおまつりしている。大宮の境界をお護りになっている神で、内宮所管社の一つである

 上記は『お伊勢まいり』という伊勢神宮崇敬会が発行している本の記載です。この本は伊勢神宮(正式名称はただ「神宮」のみですが)について詳しく説明しており、かつ持ち運べる大きさですから、かなりお薦めです。
 さて、この二ヶ所がなぜパワースポットと言われているかというと、その理由は、
 ・しめ縄で囲ってある
 ・石がある
の二つではないかと思います。もう少しはっきり言うと、
 「ビジュアルがそれっぽい」
ということです。
 実は外宮にも四至神があり、内宮にも川原祓所があるのですが、不思議なことに、なぜかそちらはパワースポットとは言われていません。その理由は
 「ビジュアルがそれっぽくないから」
ということだと思います。

 見かけと文字情報に影響される

 え、そんなもんなのですか?と驚かれるかもしれませんが、どうもそのようです。
私は個人的に霊感はありませんが、霊能力というのを持っている人がいるらしいのは確かだと思います。ただ、そんなにすごい人は滅多にいません。
 パワーがあるのかどうかって、感じたからでしょう、と思われますが、これが話を聞くと結構怪しく、実際は前述のビジュアルや神話などの文字情報にかなり影響されてるのではないかと思います。文字情報というと、例えば神話や由緒で「この神さまは蛇の姿をして出てきた」ということを聞くと、やたらと蛇を見た、龍を見たと言い出す人がいたりします。
 以前、霊感があるという人とお話しした時のことですが、
「ここで昔、自殺された人がいまして…」と言うと、
「ええっ、なんか気持ち悪くなってきました」
と言われたりしたことがあります。よくわかりませんが、言われる前に感じないとおかしいのではないかという気がしました。

 外しの理論

 神社にあるパワースポットを見ていますと、必ず境内ではマイナーな場所であることに気がつきます。パワースポットと言い出すのは霊能者や占い師といった人ですが、この方々は神社の外部の人間ですし、存在感を示さないといけません。
 そういう人たちが御本殿が一番のパワースポットである、という当たり前のことを言っても、話のネタにもなりませんし、何よりも差別化できません。そこで、伊勢神宮ならば、三つ石や四至神をピックアップしてみたり、あるいは伊雑宮や瀧原宮などの別宮に特別のパワーがあると言い出すのです。
 わざと外したところを言ってみる、これを私は個人的に「外しの理論」と名付けていますが、占いや霊能者の世界では非常によくある話です。霊能者や占い師を職業としている人はたくさんいますから、差別化しないと話題になりませんし、商売になりません。仕方がないところもありますが、やや残念なことではあります。

 素直な神社参拝を

 最近神社界で聞く話では、パワースポットブームが加熱しているのか、神社に来ても鳥居もくぐらないし、さらに本殿も素通りして、具体的にパワースポットと言われている神木や岩に直行するような人もいる、ということです。さらに、神木を触ったり、あるいは抱きついたり、木の皮を剥いでいくような人も現れ、木の周りを囲って立ち入りにしても、それを無視して入って木に触るような人まで現れている、とのことで、これは非常によろしくない話です。
 さて、それで肝心のパワースポットに行けばパワーをもらえるのか、ということですが、手をかざしたらしい人たちに、いろいろとお話を聞いてみました。結局「その時はパワーをもらったような気がしたけど、特に今は何も変わらない。」という人がほとんどでした。これは正直なところだと思います。
 パワーやご利益をくれくれ、ばかり期待するのはよろしくありませんが、神社に参拝するというのは大切なことであると思います。よくわからないパワースポットで手をかざすよりは、きちんと御本殿にお参りし、お願いばかりではなく、自分を反省し、また感謝の心も捧げて下さい。日本の神さまはそういう素直な心に反応されるのです。

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<このページの筆者>
 中島隆広 : 出雲大社紫野教会、教会長
昭和46年京都府生まれ。名古屋大学経済学部卒業、会社員の後、パソコン部品のインターネット通販の会社を起業して経営する。会社売却の後、國學院大學神道學専攻科に入学し、神主となる。

★教会長中島の本が出ました!
 日本人が伝えてきた心、そして生き方を、神道、神さまの話を中心としつつ、語った本です。相当な時間を掛けて作り上げました。ぜひ一度お読みください。


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