日本全国の神社数と神職数

日本全国の神社数と神職数

 日本全国には神社がいくつあって、神職は何人いるのか。これを知りたい時があるかと思います。
 これらについては、宗教法人を管轄する文化庁が「宗教統計調査」を行い、その数字をウェブサイト上でも公開していますので、誰でも見ることができます。
 文化庁ウェブサイト 宗教統計調査

 神社数

 平成25年12月31日時点での統計を見ると、全国の宗教団体(宗教法人を含む)において、神社の総数は81,336社となっています。ただ、詳細を見ていくと気になる点があります。
 この統計では仏教やキリスト教、その他宗教も含めて、すべての宗教法人を神社/寺院/教会/布教所/その他という分類に分けていますが、神社の中には少数ですが教派神道や神道系新宗教のものがあります。神社本庁の神社数だけなら78,954社です。神社本庁の傘下ではない単立の神社もありますが、これらの数字がどこに反映しているのか、筆者が見たところ確実ではないのですが、多くても2,000社程度なのかと推測します。
 この統計において分類で神社を選ぶのは自己申告でしょうから、実態がどうなっているかわかりません。また、例えば筆者が所属している出雲大社教はすべて教会で登録されていますが、宗派の特色のため、神社のような形態を持っているところもあります。教えを広める場=教会としての活動だけでなく、神社的な活動も行っている、そういうところも存在します。
 それから、この統計には宗教法人となっていない神社はほとんど入っていません。さらに、個人やなんらかの団体が所有していて、法人化していない神社もあります。それらが日本全国にどれくらいあるのかはわかりません。それなら企業のお社や個人の邸内社はどうなるんだ、という話も出てきます。相当の数があるのかもしれません。ただ社殿を持ち、大勢の人がお参りするようなお社はそんなには多くないのではないかと思います。
 以上、それらのことを考慮にいれて、ざっくりした数ですが、全国の神社数はほぼ8万社、ということでよいのではないでしょうか。

 神社数の統計の問題点は、数よりも質にあります。伊勢神宮や出雲大社のような大きな神社でも一社(一法人)ですし、氏子数10戸以下の小さな祠のような神社でも宗教法人になっていれば一社とカウントされます。
 全国で一番神社数の多い都道府県はご存じでしょうか?意外なことに新潟県なのです。文化庁の統計では4,757社となっています。次が兵庫県の3,859社、福岡県の3,420社が続きます。反対に少ない方はというと、沖縄県を除くと、和歌山県の440社が最少です。その次は宮崎県が678社、大阪府が723社となります。
 これは歴史的、地域的な理由もありますが、大きなものは明治中頃にお役所(当時は内務省神社局)が行った神社整理です。当時は神社は国家管理という建前でしたが、お金があまり掛けられないので、各集落に一つずつあるような小さい神社は大きな神社に集約して、それに重点的に綺麗にしようと、当時の官僚が考えたのです。もちろんこれには大きな反発があり、実施はしましたが、そのうち沙汰やみとなりました。その神社整理を熱心に行った県は神社数が少なく、反対に様子見をしていた県は神社数が数多く残ったということです。ですから、その県の神社数が人々の神社に対する信仰の度合いを表している、というわけではありません。
 過疎地域では、今も集落に一つずつあるような小さな神社がたくさん存在する地区がかなり存在します。それらの地域では一人の神職が三十や四十社もの宮司を兼任するということも珍しくありません。全国8万社とはいえ、一人でも神職が常駐している神社はかなり少ないというのが現状なのです。

 神職数

 同じ文化庁の統計を使って、神道系の教師数(この統計では神職、僧侶、神父などをすべてを教師と表現している)は81,016人となっています。これを見たのか、「日本の神職数は約8万人」と書いてある本をみたことがありますが、大きな誤りです。なぜなら、これも教派神道や神道系新宗教の教師数も含んでおり、しかもそちらの方が数が大きいためです。
 統計を見ると神社本庁だけの神職数は21,690人です。さらに神職の定義も問題になります。神社本庁の数字はおそらく神職として登録している人数、つまり神社に奉職している人の人数であると思われます。ですから、神社本庁神職資格は持っているが、現在は神社に奉職していない人は除かれているでしょう。
 一方、教派神道や神道系新宗教の団体では、専業で奉職しているものだけでなく、信者も資格を取ることができるところがあります。例えば出雲大社教の教師数は8,128人となっていますが、これは奉職している人間ではなく、教師資格を所有している人間だと思われます。ですから、この中には専業の人も、また普段は他の職業についていて祭典の時に手伝ってくれる人、さらに資格は持っているが今は何もしていない人も含まれていると思われます。
 ということで、神職数はいくらというと、神社本庁登録の神職数をベースにして、そこに単立や教派で神職として奉職している人間の数をいくばくか足す、というのが実態に近いと思います。よって、全国の神職数は約2万2千人、というところではないでしょうか。

 勤務者の数字として神職2万2千人と申しましたが、これがイコール「神職として生計を立てている人」の人数ではありません。他の仕事と兼業している人もいます。また、神社でよくあるのが、父親と子供が神職として登録されているが、専業で勤務しているのは父親だけで、子供はいつもは一般企業で働いている、という例です。その場合は子供もお祭りや正月などの繁忙期は神職として奉仕することになりますが、常勤しているわけではありません。また、専業ではあるが、定年退職した人が年金をもらいながら神職をやっている、という話もよく聞きます。ということで、結局のところ神職として専業でメシを食っている人、となると、2万2千人よりももっと少なくなります。それだけしかいないのですか、と驚かれるかもしれませんが、つまり神社にはその程度の収入しかない、ということなのです。

 統計は恐ろしい

 統計というのは難しいものだと思います。数字が出ますが、これが恐ろしい。今回の数字から計算すると、神社数が8万で神職数が2万2千なら、一社平均0,275人です、となります。しかし、無人の小さい神社がかなり多い現実、兼業神職も多い現実などを考えるとその数字にあまり意味がないように思われます。
 とはいえ数字が全くないと個人の感覚だけになってしまいますから、使わないわけにもいきません。他の分野においても注意して使わなければならない、と感じさせられました。

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<このページの筆者>
 中島隆広 : 出雲大社紫野教会、教会長
昭和46年京都府生まれ。名古屋大学経済学部卒業、会社員の後、パソコン部品のインターネット通販の会社を起業して経営する。会社売却の後、國學院大學神道學専攻科に入学し、神主となる。
・ツイッター@nkjm_tkhr

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