強い意志、そして実行

強い意志、そして実行

 松下幸之助氏というと、松下電器産業を創業して世界的な企業へと育て上げた名経営者ですが、「神道体系」という叢書の刊行に関わりました。神道の古典を現在の書物の形に何十冊もしていくわけですが、当然相当のお金がかかります。松下氏は財団法人を立ち上げて、中心となって尽力されました。「神道体系」は大学の図書館や公共の大きな図書館に所蔵していますが、現代語訳が載っているというわけではないので、一般の人向けと言うよりは研究者向けですが、これによって神道研究者が多大な恩恵を受けているのです。
 松下氏は神道だけの信徒だったというわけではありませんが、倫理や道徳について非常に関心が高かった人ですので、神道およびその精神についてもその大切さを感じられていたのでしょう。それは神道体系の発刊の辞を読むとよくわかります。

 私が松下氏でいつも思い出すのは「ダム式経営」の話です。企業経営において、不況や厳しいときが来るかもしれないから、その時のために、ダムに水を貯めるように、資金に余裕を持っていなくてはならない、というのが松下氏の持論でした。経営者が集まる後援会でその話をしたところ、「どうやって余裕を作ればいいのですか?」という質問がありました。松下氏の答えは「そりゃ、持とうと思わなあかんでしょうなあ」。それを聞いて経営者はみんながっかりしたそうです。具体的なテクニックか何かがあると期待していたのかもしれません。ただ、同じ話を聞いた、京セラ創業者の稲盛和夫氏は「ああそうか。余裕を持とうという意志が大事なのか」と悟ったそうです。まず意志を持って、そして余裕を持つにはどうしたらいいのかは自分で考えて工夫するべきということです。

 これは会社経営に限らず、人生一般に言えることではないでしょうか。例えば、結婚したいという話で考えてみます。まずは結婚したいという意志が必要です。では結婚するにはどうしたらいいか具体策を考えます。そして実行します。
 すんなりうまくいけばいいですが、簡単にはいかないこともあります。もうやめようという気になるかもしれません。そんな時はまた最初に話が戻ります。意志が大切なる、強い意思が必要となるのです。  また、個人の努力だけではどうにもならないこともありますから、神さまにお願いするのも自然なことです。松下氏も稲盛氏も自分の人生観、宗教観を語った本を出されてますが、創業者と呼ばれる人たちは意外に無神論は採らず、信心深い人が多いようです。不思議なことがあるからでしょう。
 何か事を成すには、まず強い意志が必要ということです。そして実行、あとは神さま祈りましょう。

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