日本では神も苦労する

日本では神も苦労する

 「神さまは偉い存在なのだから、つらいことはないはず」と考えるのはおかしくはありません。
 しかし、日本の神はそうではありません。出雲大社の御祭神である大国主大神がその典型です。古事記を見るだけでも不幸なことの連続です。まずは八上比売を巡って、兄弟神たちから攻撃を受けます。いちいち書くのも大変な分量なので箇条書きにしますと、
・兄弟神の荷物を全部持って運ぶように命じられた
・猪を落とすから受け止めろと言われ、真っ赤に焼けた大石を落とされた
・木を股のようにしたところに誘い込まれて挟まれた
須佐之男命の元に避難してきたときは
・蛇がたくさんいる部屋で寝るように命じられた
・蜂とムカデがたくさんいる部屋で寝るように命じられた
・矢を取ってこいと野に放たれたら、周りから火をつけられた
・須佐之男命の頭のシラミを捕れと命じられたが、ムカデだらけだった
と不幸というか、理不尽なことの連続です。

 この物語は何を伝えたかったのか。それは忍耐の大切さなのではないでしょうか。日本では神でさえこんな苦労することがあるのです。ですから、人間も苦労することは当然なのです。神道をいくら熱心に信仰したとしても不幸なことはありますし苦労もあります。私たちは耐えていかなければなりません。もっとも耐えているばかりでなく、最後は乗り越えていかなければなりません。大国主大神はその試練に打ち勝たれました。それまではオオナムチが神名でしたが、須佐之男命から大国主神と名乗れと言われることになられたのです。

 あって欲しくはありませんが、私たちにも非常に大きい不幸なことが起こったり、また不幸が相次ぐことがあります。そんなときはぐっと耐えるしかありません。耐え忍んで最後は打ち勝っていきましょう。

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<このページの筆者>
 中島隆広 : 出雲大社紫野教会、教会長
昭和46年京都府生まれ。名古屋大学経済学部卒業、会社員の後、パソコン部品のインターネット通販の会社を起業して経営する。会社売却の後、國學院大學神道學専攻科に入学し、神主となる。

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